専門看護師と認定看護師のどちらの資格を取得しようか悩んでいる方はいませんか。
専門看護師と認定看護師は、どちらも看護のスペシャリストとして公益社団法人日本看護協会に認定された看護資格です。
しかし、2つの資格は求められる特定分野や役割に大きな違いがあります。
そこで本記事では専門看護師と認定看護師の違いや資格の取得方法などを詳しくまとめました。
キャリアアップの手段のひとつとして、専門看護師や認定看護師の資格取得を目指している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
専門看護師と認定看護師の違い
専門看護師と認定看護師は特定分野における専門家です。しかし、専門分野や担う役割、資格取得の難易度は異なります。
ここでは、専門看護師と認定看護師の違いを具体的にまとめました。違いがいまひとつわからないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
対象となる特定分野の違い
専門看護師は14の特定分野、認定看護師は19の特定分野が対象です。(2023年06月現在)
専門看護師 | 認定看護師 | |
特定分野 | がん看護
精神看護 地域看護 老人看護 小児看護 母性看護 慢性疾患看護 急性・重症患者看護 感染症看護 家族支援 在宅看護 遺伝看護 災害看護 放射線看護 |
感染管理
がん放射線療法看護 がん薬物療法看護 緩和ケア クリティカルケア 呼吸器疾患看護 在宅ケア 手術看護 小児プライマリケア 新生児集中ケア 心不全看護 腎不全看護 生殖看護 摂食嚥下障害看護 糖尿病看護 乳がん看護 認知症看護 脳卒中看護 皮膚・排泄ケア |
専門看護師は看護の全分野をサポートする資格です。特定の分野の知識と技術を駆使して、患者はもちろんのこと、家族のケアまでおこないます。
また、医療現場における人材の育成や調整なども担当するため、看護分野全般を担うスペシャリストといえるでしょう。
一方で認定看護師の特定分野は内容がより限定的です。認定看護師は、特定の分野で深い知識と高度な看護技術を持つ看護師のことを指します。
新人看護師の指導や看護の現場におけるスタッフの管理などをおこなうため、看護現場におけるスペシャリストといえるでしょう。
参考:公益社団法人日本看護協会
ケア対象の違い
専門看護師と認定看護師はケアの対象の幅が異なります。認定看護師は患者に対して看護をおこないますが、専門看護師は患者とその家族が対象です。
例えば、在宅看護の患者の家族から相談があれば、地域の訪問看護ステーションへ働きかけ、連携をサポートする仕事も含まれます。
専門看護師のほうがよりきめ細かく、広範囲をケアすることになるため、幅広い知識が要求されます。
役割の違い
専門看護師と認定看護師は担う役割の範囲も異なります。
専門看護師と認定看護師の両方に求められる役割
相談 | 看護をおこなう者に対してコンサルテーションを行う |
指導 | 看護実践を通して看護職に指導を行う |
実践 | 熟練した看護技術で質の高い看護ケアを提供する |
専門看護師には上記の3つに加えて、次の3項目も要求されます。
研究 | 専門知識や技術向上のための研究活動をおこなう |
倫理調整 | 患者やその家族の権利を守るため、倫理的な問題や葛藤の解決を図る |
調整 | 必要なケアを円滑におこなうため、保健医療福祉に関わる人員のコーディネートをおこなう |
専門看護師のほうが認定看護師よりも幅広い役割を担っています。
認定看護師の場合と異なり、複雑な状態の患者や家族を担当するケースが増えるため、状況に合わせたケアを的確に判断していくことが重要です。
資格難易度の違い
専門看護師と認定看護師は資格取得の難易度が違います。どちらも看護師資格は必須です。
また、5年以上の実務研修期間(そのうち3年以上は専門分野での実務)があり、所定の教育機関で教育を受けることが義務づけられています。
- 認定看護師:認定看護師教育機関で6カ月の教育を受け認定試験に合格
- 専門看護師:看護系大学大学院にて2年間で38単位の取得、認定試験に合格
上記でもわかる通り、専門看護師のほうが認定看護師より、資格取得までの期間が長く、難易度が高いことがわかります。特定→専門に修正しました。
専門看護師とは?
専門看護師(CNS:Certified Nurse Specialist)とは、患者だけでなく、その家族に対して質の高いケアをおこなう看護師のことです。
特定の分野において深い知識と高い技術を備えたと認定された看護師が、所定の教育機関で学び、認定試験に合格することで取得できます。
2022年12月時点で全国で3,155名以上の専門看護師が活躍しています。
ここでは、専門看護師について詳しくまとめました。専門看護師に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
参考:公益社団法人日本看護協会
専門看護師の役割
専門看護師の役割は実践、指導、相談、調整、倫理調整、研究の6つです。
実践 | 患者や家族に対し、高い看護技術と専門知識で質の高いケアをおこなう。 |
指導 | 看護職に対し、より質の高いケアをおこなうための教育的指導をおこなう。 |
相談 | 看護職やケア提供者に対し、コンサルテーション(相談)を実施する。 |
調整 | 患者が自宅でも適切なケアを受けられるよう、地域の福祉や保健医療との連携を図る。 |
倫理調整 | 倫理的問題が生じやすい場面でも、患者や家族の権利を尊重するため、ケア提供者全員へ働きかける。 |
研究 | 看護現場の問題を課題として研究し、成果を実践する。 |
専門看護師の業務内容は多岐にわたります。難しいケースに対応をすることも多いため、包括的な看護に関する深い知識が必要です。
大変な仕事ではありますが、その分やりがいも感じられます。
将来的に看護師のエキスパートとして活躍したい方は、専門看護師の資格取得を目指してみましょう。
専門看護師になるには?
専門看護師になるには、看護師として5年以上の実務経験が必要です。
また、そのうち3年以上は資格取得を検討している専門分野での実務経験を含んでいる必要があります。
その後、各専門領域教育カリキュラムを備えた看護系の大学院に入学し、定められた単位を取得することで、認定試験を受ける資格が得られます。
試験に合格すれば専門看護師認定証の取得が可能です。
専門看護師は医療の進歩に合わせて5年毎に更新する義務もあります。
そのため、資格取得だけで終わらず、日々、新しい技術や知識を学んでいくことも要求されます。
認定看護師とは?
認定看護師は専門看護師ほど難易度は高くありませんが、特定の看護分野において深い知識と熟練した看護技術が必要です。
ここでは、認定看護師の役割と資格取得方法を解説します。認定看護師に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
認定看護師の役割
認定看護師の役割は実践、指導、相談の3つです。一般の看護師より高い技術と知識が要求されます。
実践 | 患者や家族に対し、高い看護技術と専門知識で質の高いケアをおこなう。 |
指導 | 看護職に対し、より質の高いケアをおこなうための教育的指導をおこなう。 |
相談 | 看護職やケア提供者に対し、コンサルテーション(相談)を実施する。 |
認定看護師の仕事は、患者と看護職に対するものに限定されます。そのため、役割の中心は実践、指導、相談の3つになるのです。
専門看護師に比べて担当業務は少ないですが、患者に対する適切なケアと優秀な看護師の育成の役割を担います。
認定看護師になるには?
認定看護師になるには、5年以上の実務経験が必要です。そのうち3年以上は認定看護分野での実務経験が必要になります。
条件をクリアした後、特定行為研修が組み込まれた認定看護師教育機関で1年以内に800時間程度の研修を受講し、認定試験に合格することで取得が可能です。
また、認定看護師も5年毎に資格の更新が必要になります。
まとめ
専門看護師と認定看護師は、どちらも深い知識と高い技術を持った専門職です。
資格取得までは5年以上の実務経験に加え、所定教育機関での勉強や資格試験に合格する必要があります。
そのため、かかる期間や難易度を考慮してどちらにするか決めるとよいでしょう。
どちらにしても簡単な道のりではありませんが、今後の看護医療の現場を担っていく責任の大きな仕事です。
資格を取得することで仕事の幅がぐっと広がるので、看護師としてキャリアアップがしたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。