現在ワークライフバランスを考える風潮はありますが、ライフイベントがあったとしても共働きが主流になってきていますよね。
50代や60代まで働くことを想像した場合に、ただ何も考えずに働き続けるのでしょうか?
今後の世の中の流れを見る限り、一人ひとりの個性を活かして働くこと、キャリアを意識することは、未来の働き方として必要になってくるといえます。
そして、社会人になり、経験を積み重ねその先に見えてくるのが管理職です。
看護の現場においても、新人からスタートし後輩指導を経て、その先は看護部門の指揮管理をおこなうような管理職へキャリアを積む道はあります。
本記事では看護師管理職についてどのようなスキルが必要なのか、そしてどのような業務をしているのかを解説します。
立場が上にあがるほど責任感のある業務は多くなりますが、看護師を目指してる方でも、やりがいを感じられ、管理職に興味をもてるようになるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
看護師における管理職の道のりとは?
医療現場における管理職は、現場(就職先の法人)により呼び方は異なりますが、主任レベルからはじまり師長レベル、さらにキャリアを積むと部長レベルまでの道のりがあります。
- 看護主任
- 看護師長
- 看護部長
管理職の入口である主任から順にどのような業務、役割を遂行するのかそれぞれ説明します。
看護主任
看護師主任は、看護管理職の基本です。看護主任レベルの仕事内容はどのようなものか、具体的には以下のような業務例があげられます。
- 看護師の管理・指導
- 看護モデルとしての業務実施
- 新人と新人教育担当の関係を調整
具体的には、新人看護師の実践能力や職場に適応できているのかなどを把握します。
その上で個々にあう教育指導をおこなえるように新人教育担当に促すような業務もあります。
看護主任レベルの看護師は、主に後輩看護師への指導的立場として貢献する役職だといえるでしょう。
看護師長
看護師長は、主任より上位の管理職です。看護部門の看護師や主任を統括する業務がくわわります。
看護師長レベルの仕事内容はどのようなものか、具体的には以下のような業務例があげられます。
- 部署内の目標や方針の設定
- 看護師のキャリア支援
- 看護師のメンタルケア
- 看護部門の組織整備
現場においては、個々の看護師のメンタルケアなど細かい部分も管理します。
たとえば、新人看護師が職場に定着できるよう精神的な面での支援や教育のサポート、そして面接などの手段をとり看護師と近い距離で解決していくことも業務の一つ。
看護師長は、現場の看護師の心身のケア、業務指導から、看護部門の統括までおこなう責任ある業務といえるでしょう。
看護部長
看護部長は、病院全体の看護部門を統括する責任ある管理職です。
看護部長レベルがおこなう仕事内容は、主任〜師長レベルの看護師がおこなう仕事内容にさらに以下のような業務例が加わります。
- 看護部門全体のビジョンや戦略の推進
- 病院経営の企画や運営に参画
- 看護師長と連携、業務指示
- 病院内の他部門との連携
看護部長は看護部門の責任者です。そして、看護部門だけではなく病院各部門や病院各委員会などと連携をとりながら企画運営までと、業務範囲もかなり広がります。
日常業務においては、師長レベルの看護師と連携して業務を進めたり、部署内の教育方針もスタッフ一同に伝えていくような指示、部署内をまとめていきます。
また病院によって規定はさまざまですが、部長レベルになるには管理者クラスに推薦され、会議において承認され任用されるなど、就任すること自体が容易ではないことも伺えます。
ここで、部長レベルになるまでの道のりは、ハードルが高いな、と思われた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、看護師の認定管理者資格を目指し、キャリアを積みながら管理職を目指す方法もあります。
具体的には、専門看護師、認定看護師、認定看護管理者など、看護師が目指せる資格があります。将来のキャリアパスの具体例として参考にしてみてください。
看護師の管理職に必要なスキルとは?
看護師の管理職になるための、現場で必要なスキルは何なんでしょうか。管理職に必要だと思われるスキルは以下になります。
- コミュニケーション能力
- 現場をまとめる責任能力
- 課題解決能力
それぞれ具体的にみていきたいと思います。
コミュニケーション能力
看護師の管理職は、いろいろな場面でコミュニケーション能力が問われます。
管理職は、看護師をまとめるため看護師スタッフとのコミュニケーションだけではなく、医師や外部部門との連携してとりコミュニケーションをはかることが不可欠です。
また現場の看護師スタッフと上層部の間にたつ立場から、両方の意見を取り入れながらのコミュニケーションも必要になります。
現場をまとめる責任能力
看護師の管理職は、人材を管理する立場から責任能力を問われることも多くあります。
よって現場をまとめる責任能力、リーダーシップ性も必要です。
自分の業務だけではなく、常に看護師スタッフに寄り添いチームを築く強い責任感や心持ちが必要です。
看護師としての強い責任感をもつには、看護師になるための看護観、自分の信念をもっていれば、現場での責任感を持つ心構えは育っていくでしょう。
課題解決能力
医療の現場では人の命を救うような医療現場では、問題が発生したときにどのように解決していくか管理職は判断し解決へ導く能力も必要となるでしょう。
看護現場においては、どのような問題が起きているのか全体を把握するだけではなく、さらに掘り下げると看護師個々で抱えている職場での悩み、問題も把握、共有し解決へ導く能力も必要になってきます。
看護師の管理職のやりがいとは?
看護師管理職は大変な仕事だからこそ、やりがいも十分感じられるでしょう。また管理職ならでは実行できる業務もあるでしょう。
管理職ならではのやりがいはどのようなものがあるのか具体的に説明したいと思います。
管理職になると給料があがる
看護師が管理職になると給料面ではどうなるのでしょう。
管理職の平均給与について厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計での調査結果は以下になります。参考にしてみてください。
基本給 | 平均給与 | |
看護主任級 | 25万円 | 500万円 |
看護師長級 | 37万円 | 550万円 |
看護部長級 | 42万円 | 650万円 |
看護部長級では主に師長と連携をとりながら現場の指導、師長になると看護部門の責任者、さらに部長級になると病院全体の看護部門も最高責任者に昇進し、役職があがるほど給与面もあがることがわかりました。
看護師として長く働きたい人には、収入面においても管理職になるとより安心になるでしょう。
現場の育成に関わることができる
看護師の管理職は現場の責任者としての役割だけではなく、役職があがっても現場の人材育成に携わります。
たとえば、医療現場において各スタッフがそれぞれの役割を果たせるよう意識づけをおこなう役目から、会議などでは管理職である立場から新人教育支援に関する情報共有と問題解決をおこなうなど現場の人材育成の業務は多岐にわたります。
スタッフを指導し有能な看護師を育てたいなど、人材育成に興味をもつ人には看護師を育てることで仕事のやりがいと感じるでしょう。
働きやすい環境作りができる
看護師の管理職は責任が重い仕事にはなりますが、一方で自分の思ったことを実行できるのが管理職の魅力でもあります。
- 自分の思ったような病棟作り
- スタッフが働きやすい環境作りをしたい
このように病院全体の働きやすい環境を提案し実行できるのも管理職だからできることで、成果も出るとよりやりがいを感じることでしょう。
まとめ
看護師の管理職は看護師スタッフの指導から、徐々に看護部門の管理職との連携、さらには病院全体と連携をとり病院に貢献する重要な役割を担う職業です。
管理職は役職があがればあがるほど責任感の必要な立場にはなりますが、患者だけではなく看護師育成、管理職である立場から働きやすい職場へかえていこうと実行もできるやりがいは十分、そして収入面も役職があがるほどあがっていくこともわかりました。
もちろん看護師になれば誰もが管理職になれるわけではありませんが、管理職に必要なスキルを日々意識しつつ看護業務を遂行してチャレンジを目指していくものよいでしょう。