【プロフィール】
髙橋 薫(たかはし・かおる)
大学卒業後、一般企業での勤務を経て看護専門学校に社会人入学し看護師免許を取得。卒業後はリハビリ病棟等で6年間勤務したのち、2023年東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野保健師教育コース修士課程に入学。千葉県出身。一児の母。
趣味:子どもと遊ぶこと
座右の銘:艱難汝を玉にす
社会人から看護学生へ
文系の大学で学び卒業後は一般企業で働いていましたが、今の仕事が誰かの役に立っているのを考えるようになり、その中で看護という仕事を知りました。人々が健康な生活を送れるよう支援するという仕事内容に魅力を感じ、一念発起して子どもが0歳の時に看護学校に進学しました。
1人でやりくりしつつ、実家の両親の協力を得ながら乗り越えました。他にも社会人学生がいて、学年40人中10人くらいはお子さんがいる方で、同じ環境下で「共に頑張ろう」という連帯感が生まれていました。社会人を経て久しぶりの勉強は大変な面もありましたが楽しかったですね。
予防的介入をしたいと保健師を目指し大学院へ
以前、透析室で勤務していた際、患者さんは治療上食事や水分の厳しい管理が求められ、とても頑張っているもののうまくコントロールできない方もいらっしゃいました。そのような方たちに対し「〇〇してはいけない」「それではダメ」と指導するのではなく、もっと他に何かすべきことがあるのではないかと考えていました。
そこから、病院を受診する手前の段階で予防的サポートがしたいと思うようになり、保健師になりたいと考え進学を決めました。
進学先の決め手は研究を学べる環境
自宅から通学できる進学先として東大が候補にあがったものの、難しいことは明らかでした。母の友人のお子さんが保健師で、東大の大学院に入学したという話を聞き、身近に進学した人がいることを知って「やれるだけやってみよう」と思いチャレンジすることにしました。
私が通っていた看護専門学校では看護研究をやっていなかったので、研究がどのようなものなのかよく分かっておらず、説明会行った時に研究の重要性を知り、しっかり学んだほうがいいという思いがあって東大を選びました。
受験勉強を支えた自分を信じる気持ち
私は2022年に受験しましたが、試験は英語・小論文・面接でした。
看護師になって勤務した病院では、疾患があってもその人らしく生活ができるよう支援に努めていました。しかし、病を予防し生活できるようにすることが大切だと思い始め、違うキャリアを考えるにあたり「どの道に進んだとしても英語は必要になる」と思い、勉強を進めていたことが役立ちました。
それに加えて、ひたすら英単語を覚えたり、アプリを活用したりオンラインの英会話を受講したりして対策しました。やってもやっても不安はぬぐえませんでしたが、心の中で「ここに入るんだ!」と決めていたので、大丈夫だと信じて合格発表の日を待ちました。
研究室を選んだ決め手
研究室の教授と研究したい内容について話をして、それに対して「とてもいいね!」と共感してもらえる穏やかな雰囲気の面談でした。もちろん現実はそんなにスムーズに研究が進むわけではありませんが、一緒に考えていけそうだという確信が持てたのでここで学びたいという気持ちが高まりました。
保健師教育コースの特徴
保健師教育コースは5人が履修しており、他の教室の学生が3人います。5人一緒に受ける講義もありますし、各自が選択した授業を受けることもあります。研究室に来れば誰かしらいるので、お互い支え合っている素敵な仲間です。
1年生の時は、毎日講義がある週もありますし、講義がない時は研究室に行き、自分の関心がある分野の専門研究の文献を読んで過ごしています。週末は少しゆっくりすることもあれば、課題をやる時もあります。週明けにプレゼンがある時は準備をしなければならないので、十分に休む余裕がないがないこともあります。
今後の進路
金銭的な悩みや不安がなければ博士課程に進学して学び続けたいという選択肢を考える人もいるでしょう。私の場合、子育てをしているため就職をする予定です。
大学院進学を考える看護学生・看護職へのメッセージ
大学院に入学し、一緒に学んだり悩みを共有できたりする仲間に巡り会えたことが一番の収穫です。地域看護学教室は「リサーチマインドを持つ保健師」と「保健師マインドを持つ研究者」を育成することを目指していおり、その中で日々学んでいるので重要性を常に感じています。
保健師は社会の動きを踏まえつつ、地域の人たちの健康課題やニーズを明らかにしてその解決をサポートできる専門職です。保健師になるために、皆さんも一緒に考えてみませんか?